伊藤 薫教授 インタビュー

その音符が一拍なのか、二拍なのか、という差は大きい
───作詞をするうえで、楽器などは出来た方がいいと思いますか?動画を見る

伊藤教授(以下「I」):譜面は読めたほうがいいかもしれないけどね…。

───作詞のオーダーがあった時に、
一緒に譜面が付いてくることもあるんでしょうか?

I:うん、やっぱり基本的に「譜面ください」って言っちゃうな。
特に歌でデモテープが作ってあったりする場合は、
そこが二拍なのか一拍なのかがちょっとわからなかったりする。
キーボードであっても、減衰音だとかドラムのキックなんかと
混ざってしまって、一拍なのか二拍なのかが
ちょっと分からなかったりするとやっぱり、詞を作る人から言わせると
結構その一拍二拍って大きいので、
そういう時は譜面をもらいたいですね。

メロディーをある程度聞いてしまえば、譜面を持ち歩けばもう、
それこそまたどこででも、そういう電子機器が制限されるような場所でも、
譜面さえあれば詞はまた書けますからね。
時間の節約にもなるので、譜面は読めた方がいいと思いますけれども。
ただまあ、必ず読めるべきということでもないと思うけれども。

───譜面をくださいって言うと、大体もらえるものなんでしょうか?
I:譜面がないことは、ほとんど無いと思うけど。
うん、だって作曲家さんはみんな譜面は大体書けるし書くし。
やっぱり自分で曲を書いた場合は、譜面にするとまた色々とね、
分かることもあって。
「なんだよ休符が無いじゃねえか」、なんてことがあったりしてね。
譜面を見て改めて気がついて、ということもあるので
やっぱりある程度の譜面は大事かな。
ただ初見とか、ものすごく高低差が多い、なんていうものを
自在に弾ける様になんていうことではなく、
アバウトでいいので、譜面とは関わりを持ってた方が
いいかなと僕は思います。

───譜面って、大事なんですね。



───(少し話は戻ってしまうかもしれないんですが)お仕事場やお仕事をされる場所はありますか?
色々なところで思いついたり、ということはおっしゃっていたんですけれども…。
I:詞の場合は本当どこでも書けるので、ただもう
清書は最近はパソコンでするので、うちの狭い部屋で最終的にはそこで。
そこからメールで送ったり、プリントアウトしてとかしますけれども。
いわゆる作詞の場合はほんとに仕事場は僕は作らないですね。
メロディーの場合はどうしてもキーボードとかがないと、
MTRとかそういうのがないと出来ないけれど、
詞の場合はもうそれこそどこでもね、近所の喫茶店だろうが、空港だろうが川っぷちだろうが
どこでも書けるので。僕はわりと外へ出るタイプだから。

───外に出ていろいろなものを見ながら発想したりとか…
I:そうね、うん。やっぱり動くものを見てた方が脳も動く感じかな・・・。
でもこれはきっともう人それぞれでそれがいいとか言うんじゃなく、
僕のスタイルとしてはどちらかというと、割と雑音があっても大丈夫ぐらいの感じですね。
むしろ篭っちゃうと、じれったくなってきちゃって駄目かもしれない。

───雑音があっても集中されてるんですね。
I:その雑音の中から何か呼んでくれることがあるっていうか。
例えば人と人が話してる言葉がとても新鮮だったり斬新だったり
おいしいフレーズが空港の待合室とか、ファミレスなんかにいると、
喧嘩してる二人なんかがいるともう、100%食いついちゃうね
(笑)
そういうところでフレーズがまた出てくるとね。
今かかってる仕事とは別にそれはそれでまたちょっと書き留めたりすることもある。
だから僕はどっちかっていうと部屋には篭らない。

───その雑音っていうのは、例えば人と人との会話であったりとか、
I:そう。駅とか、最高ですよね。
なんで女の子が泣いてるんだろうって、すごく知りたくなるじゃないですか。
ただ永久に知れないからね、悔しいけど。
だからきっとこういうドラマがあったに違いないと
自分で妄想してくと楽しいし、それも一つの詞になることもありますからね。

───人がお好きなんですか?
I:やっぱり色々と見るの大好き。
窓際の喫茶店とかもう、たまんないね。
うん、好奇心っていうのかな。やっぱり、それ好きだなあ…。



本屋さんとかDVDショップなんか行って、背表紙はよく見る。
───先ほどのお話で、アーティストさんに関する本や(彼らが)読みそうな本を…ということだったんですが、
映画や小説などから、良い刺激を受けることはありますか?動画を見る

photoI:あのね基本的にはね、中身に関しては僕は無いんだ。
ただね、タイトルがすごく気になるの。
だから本屋さんとかビデオ屋さんとかDVD屋さんとか行って
背表紙はね、とても。
だから待ち合わせに早く着いちゃったりした場合は、
本屋さんとかDVDショップなんか行って背表紙はよく見る。
で、あー、いいフレーズだなあ、とかね、いいタイトルだなあっていうことは・・・
ただそれをそのままっていうことは絶対しないけれども。
そういう、いい刺激にはなる。

でまあちょっとエロティックなものなんかでもね、
なんかちょっと場所が違うようなね、18歳未満お断りのようなコーナーでも、
すごく、作者が、この人は昔、文学を目指してたんじゃないかなとか
思われるような背表紙とかタイトルを見るとね、ワクワクする。
内容的にそれを中でブレンドしてというようなことは、あんまり無いですね。

───確かに、タイトルってすごく大事だと思います。
最初に目につくところですし、インパクトのあるタイトルだと興味も湧きますし。

I:やっぱり、タイトルは顔ですからね。
門というか玄関というか、一番最初に目につくのはそれですから。
ただもうこれだけ言葉が氾濫してしまうと、字体だとか書体だとか
そういうものである程度インパクトをつけて、
中身は最近はちょっと停滞気味かなと思いますけどね。
もう大体出尽くしちゃったのかな、みたいな感じも若干。
タイトルぐらいじゃ、みんなあんまり衝撃を受けないかもしれないね。

「さくら」なんていうタイトルが、あれだけ何回も何回も出てきてもOK、
昔だったら、大体ヒットした楽曲のタイトルっていうのは
基本的にはもう使わない、タブーってなってたけれど
最近はそうでもないから、昔みたいにタイトルのインパクトっていうのは
固執しないのかもしれない、ディレクターさんがね。

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