松本名誉教授インタビュー

どういうふうに時代と、松本一起という人間が向き合うか
───先生にとって作詞家とは、作詞を仕事にするというのはどういうような事でしょうか。
心がけていることや、ポリシーなどありましたら教えていただけますか?
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松本教授(以下「M」): やっぱりね、作詞家っていう仕事はあの、
時代の中にどう自分の考え方を入れられるかっていうことですよね。
ただ単にいい歌つくろうとか、抽象的な男と女の恋愛観を作ろうとか
何とかっていうんじゃなくて、
自分の考えたことでいかに世の中にムーブメントを起こせるか
っていうことなんですね。世の中をどう動かしていくかっていうこと。

1曲のヒット曲で、世の中の流行とかブームっていうのは作れますから。
ある程度は。
そんな生意気言ってることじゃなくて、ある程度は、
そういうムーブメントを起こせるんですね。

ですからそういうことの影響を、
自分がどんだけ関わってやれるかっていうところってやっぱり、
非常に僕は、興味がありますね。
なんかきれいな石とか、美しい言葉とかなんとかって、
当然そういうのも必要なんですけどもどういうふうに
時代と僕自身が、松本一起という人間が向き合うか
その時代を作詞家一人の人間がちょっとでもね、少しでもこう、
あの、一度でもいいからちょっと世の中いい方に動かしたいな、っていう、
自分の理想とするところにっていうのは常に、思ってますよね。

ですから、どう心がけているか、っていうことなんですけども、
やっぱり街、見てます。

───街を。
M: 僕の仕事っていうのは、街を歩いて人を見たり、新しい建物を見たり、
それから、新しい空気感を書いたりすることなんですよ。
で、よく言いますけど、パソコンの前に座ったらもう、作業なの。単なる。
本当、単なる作業ですから。

仕事は、街を歩く。
今、住まいが代官山なんですけど、ここまでゆっくり歩いて一時間半くらいかけて歩いて、
ぶらぶらいろんなものを見ながら。
そういう事が僕の仕事ですね。

───そうなりますと、たとえばその、街を歩いている中で、
インスピレーションやヒントなどを得られたりされるんでしょうか。

photoM: ごろごろ落ちてますね。
例えばね、青山の246のところにあるナチュラルハウスの隣に
スターバックスカフェがあるんですけど、
こう、表に二つテーブルがあって、そこに男の子と女の子が座ってて、
なんであの二人はあんなこんなに寒い時に、
なんであんなつらそうな顔をして
こう向き合ってるんだろうな…と思った瞬間に、
僕だめなんですね。

で、また戻ってって入るふりをしながら、
話をきいてるんですね。内容。
もう、面白い…面白いって言ったら失礼だけども。

なんか、「なんなんだろう」っていう、はい。
常にそういうことって思ってますね。
なんであんなこと ・・あんな距離があいてるんだろうとかそういうふうな、
「なんで」っていう問題意識みたいなものがありますよね。

───問題意識・・・なんでっていう。
M: 問題意識ってすごく大きいですね。
問題意識を持つ、持たないっていうのは。
あの、かならず問題意識には解答がありますので、
その解答を探そうっていうことで一生懸命自分の目がいきますよね。
そういうことって大事ですねー。はい。

…かといって別に僕がそういう…歩いているわけじゃないんですよ。
いつも、ぶらぶらぶらぶらしている・・
僕は美術が好きなんですけども、美術品でいいものがありますと、
お店に行って買ったりとか買わなかったりとか、色々するんですけど。

別にいつも、作詞家になってるわけじゃないです。

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